1か月前のお話になりますが、物件探しのお手伝いをさせていただいたお客様のアトリエ兼ギャラリーの開業のお祝いに伺いました。
そのお客様は本格的なセルフDIYでアパートの店舗部分の1室を丸ごとギャラリー兼アトリエに改装されたのです。
そのパワーには圧倒されるばかり、そして中を見せていただき、更に圧倒されました!
■葛飾区にある「space KUSHIGATA」さんです。
不動産業界では事業系物件に対する募集時の分類が狭いので、「事務所」「店舗」「倉庫」「その他」のような考え方で分けられるのが通常です。
アーティストや職人さんが探す「アトリエ」や「工房」は、どの分類になるのだろうか・・・?
一部の物件には使用目的などにアトリエと示されていることもありますが、多くはアトリエや工房に利用することを事前に考えては募集をしていません。
1年程前に大きな作品を制作するためのスペースを探していたお客様から、「DIY可で、面積広め・天井高めのスペース」探しのご依頼をいただきました。
大きな作品を制作する場合、搬出入を第一順位で考えなければならず、1階で面積が広く、天井が高い物件となると「倉庫」が中心になります。
倉庫は、荷物の留め置きと搬出入を前提に造られているため、間仕切りが少なくて天井が通常より高め、さらには建物前に荷捌きスペースが設けられていたりします。
ただし、これだけしっかりした倉庫物件になると、都内ではかなりしっかりとした月額賃料になりますし、倉庫の場合は「建物内で作業をしない」という条件で募集をしていたりすることが多々あります。
お客様はエリアを幅広くお考えで、場合によっては住居もアトリエの近くに引っ越そうと考えていらっしゃいました。
物件探しを根気強くしている中で、1件、築年数の古いDIY自由のアパートの1室が募集されているのを見かけました。
その物件は倉庫ではないのですが、店舗・倉庫として募集しており、「DIY自由」だったこともあり、目にとまった物件です。
ギャラリーとして利用する場合、不特定多数の人が出入りするため、「店舗可」の物件であると、条件面でクリアできることが多く、これもご提案しようと考えた要因です。
その物件は、以前は内装工事業者が入っていたと思われるものの、退去してから時間が経過していたようで、建物内部の写真も相当手直しが必要な感じがしました。
相当なDIYのレベルが必要だな・・・と思いつつも、一度見ておきたいとのことで、ご案内させていただきました。
実際に見てみると思った以上に古い物件で、床は凹凸が激しく、壁も劣化が激しい状況。
店舗スペースはコンクリ床部分がかなり広がっていて、奥は6畳のたたみ部屋があり、使い方によっては面白そうではありましたが、個人的には「これは厳しいな・・・」というのが、私の第一印象でした。
しかし、お客様には何か惹かれるものを感じられたようで、申込いただいた次第。
とてもびっくりした記憶があります・・・(;'∀')
実はDIYに関しては、ご友人にかなりDIYに明るい方がいて、その方が力を貸してくれるとのこと。
そのご友人、アーティストとして自分の製作スペースは自分で作るという信念をお持ちの方なのだそうです( ゚Д゚)!スゴイ
■全体は白で塗装。コンクリ床をきれいにするのはかなり大変だったそうです。
■中央の柱はこの建物の雰囲気になじんでいて、印象に残ります。アトリエの特徴になりますね。
■奥の和室は畳を外して多目的スペースに。テーブルもリノベ時に出た廃材を使っているそうです。
ご自身のアトリエとして、ギャラリースペースとしての利用の他に、若手作家の方々の活動拠点としても利用できないか、色々と考えていらっしゃるそうです。
壁や床を変えるだけでも居室の雰囲気は大きく変わるというのは不動産業者として実感しているのですが、これほどまでにダイナミックに居室が変身する様を見るとさすがに驚かされました。
確かに芸術を志す方々は、私のような仕事とは違い、ゼロから新たなものをイメージし、それを形にしていきます。
きっと、このアトリエ・ギャラリーも大きな作品の一つになるのだろうなぁ~と思いました。
帰り際、感動で少し泣いてしまいました。
私は物件をご提案しただけですが、こういった素晴らしいご縁に巡り合えたことはとても感慨深かったです。心からそう思いました。
■今回ご訪問した場所 : space KUSHIGATA さん
※アーティスト 井澤 茉梨絵さんのギャラリー・アトリエスペースです。
リノベーション記録もありますので是非ご覧ください。